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偶然と必然 [日々のこと]

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大学時代の友人が先年夭逝した。彼の両親は仙台に住んでおり、彼の墓も仙台にある。

今回の地震後に東京に住む彼の姉さんに連絡をとってみると、
ご両親は無事だが、お寺は津波の影響を受けた場所にあり、
近くに住む親戚は避難していて、どうなっているか確認できなくとても心配。
また地震後の仕事で当面帰ることもできない状況、とのことだった。

今週、地震で中断していた昨年度の仕事の最後の打ち合わせに仙台に向かった。
仕事先の事務所は仙台港近くにあり、建物の1階が津波に飲み込まれた。
道路では瓦礫が取り除かれていたものの、周辺一帯はまだ手付かずのままだった。
打ち合わせ後、仙台港から名取川方面へ状況確認に出かけた。
誰もがそうであるように、この状況を語る言葉はどうにも想いつかない。

夕闇が迫り、帰路についたまさにそのとき、
目の前に記憶のある情景が飛び込んできた。
友人が眠るお寺さんだ。 何たる偶然だろう。
お寺さんは津波を直接かぶってはいなかったのだ。
墓地では多数の墓石が倒れていたりしているが
友人の墓は墓石が回転はしているものの、倒れてはいない。
墓誌は倒れていたが割れてはいない。
元に戻そうと動かそうとしてみたが、重すぎてどうにもならなかった。
墓誌に刻まれた友人の名前をみていたら涙がこみ上げてきた。

見舞いに来たぞー
おー、待ってたぜ!
大変だったな
大変だったよ またきてくれよな
あー来るともさ

さっそく彼の姉さんにお墓は無事との連絡を入れた。
安心の報せに涙が溢れたこと、ご両親もとても喜んでいたとのメールが届いた。

彼の命日はその日のちょうど1週間前だった。 彼が呼び寄せたんだ。
偶然とは必然なんだとますます確信するのである。


写真は津波をかぶった仙台港の岸壁で、背中に乗って飛び跳ねて遊んでいたウミネコ。
殺伐とした環境の中で心が緩んだ一瞬だった。

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コメント 17

きよたん

昨年3月11日に亡くなったわたしの父の眠るお墓も
墓石が壊れました 
石材屋さんに直していただきましたが、お墓に行ったときに
その悲惨な光景に悲しい気持ちになりました
母がいわきを離れたがらないのは自分の故郷 自分の分身
を見捨てることはできないという思いなのです

by きよたん (2011-04-29 21:33) 

katakiyo

お疲れ様でした。
偶然でなく必然と私も思います。
お友達を亡くされたお気持ちが通じたのでしょう。
by katakiyo (2011-04-30 06:31) 

katakiyo

ツツジ園に行かれたとのことビックリしています。
お近くにお住まいでしたら世田谷のどこかでお会いしているかも知れませんね。
by katakiyo (2011-04-30 08:32) 

recchu

もしかしたら
偶然 というのは、ことばでしかないのかもしれないと思いました
(すべては必然?)
COLEさんがお仕事で仙台を訪れつつ、ご友人の眠る寺を意識の中で探し続けていた故の必然だったのかと

人を想う気持ちが引き寄せるミラクルを信じたい!
切り開いていく先に運命があると信じたい!
何に流され失くすとしても
人の心や記憶や気持ちや頭の中で”守ることの出来ることがある”って
素敵ですね
お友達を亡くされても友情を続けていらっしゃるCOLEさんが素敵です!
戯れるウミネコたち、何を見ていたのでしょうね。。
by recchu (2011-04-30 10:40) 

プランツマーケット

COLEさんとご友人の意思が、引き寄せたのでしょうか。
人間は必然あっての、運命に生かされてるのかな~?
by プランツマーケット (2011-04-30 11:28) 

小坊主つばめ

故人様の呼びかけ・・それを受け止められるCOLEさん。
素敵です。
ご家族の喜びも・・いかばかりか・・。
by 小坊主つばめ (2011-04-30 12:45) 

zak

う~ん・・・
偶然とは必然なり。
そんな言葉が浮かんでは消える
それにしても・・
ココロの会話ができて良かった!
by zak (2011-04-30 20:33) 

彩

おひさしぶりです。
その日に、私の従弟は生まれました。
これも何かの偶然なのか、必然なのか。
人々にとって忘れられない日に生まれたあの子が
他人の死を悼んで涙を流せる子に育ってくれるのを
願うばかりです。
by (2011-04-30 21:09) 

yoko-minato

今回の震災がもたらした多くの悲しみ
を思うと言葉がありません。
何をどう受け止めればよいのかと。
そんな中被災地の人たちの姿を見るにつけ
とにかく皆で力を合わせて乗り越えていく
きりないのだと思っています。
ご友人のお墓が残っていたことは嬉しい
お知らせでした。
by yoko-minato (2011-05-01 07:05) 

YOUR-MOM

仙台までいらしたのですね。
大震災のまだ「その後」とは言えないほどの混乱の中でみつけた
ウミネコの自然な姿は却ってせつないものですね。

by YOUR-MOM (2011-05-01 09:54) 

rico

お久しぶりです。「生きる」ことに一生懸命
こだわりたいな。と思う今日この頃です。
by rico (2011-05-01 12:51) 

Dandelion

人の心は実態が無く不確かなもので分からないですが・・・
生身の身体が無くなっただけで、心は生きて居るのだなぁ・・・
と感じます^^
見えない事実に意識を向け感じるのは素敵な事ですね♪
by Dandelion (2011-05-01 16:31) 

雀翁

友人の墓に参るとき、言い様のない違和感を感じます。彼らといっしょに過ごした時間、向こうの時計は止まり、こちら側だけで流れている時間。
それでも「よう、元気か?」って語りかけてしまいます。

by 雀翁 (2011-05-02 12:35) 

ライムグリーン

偶然は必然。
この記事を読んで本当にそうなんだなと思いました。
今迄はただの偶然で済ませていた事を、これからは
もうすこしよく考えてみたいと思います。
by ライムグリーン (2011-05-04 10:02) 

COLE

■いつもたくさんのNiceとコメントありがとうございます

■きよたんさん
 きよたんさんはいわきでしたね
 お気持ち察します
 私のいわき出身の友人もふるさとに戻り
 生活支援活動に専念しています
 誰もが思い入れのある土地
 大切にしたいですからね

■katakiyoさん
 かってに紹介してしまいました
 失礼いたしました
 ちょっと嬉しくてね
 またどこかでお会いしましょう

■recchuさん
 想い続ければ必ず叶う
 ウミネコだって明日を夢見ていることでしょう

■プランツマーケットさん
 必然あっての運命は自ら作り出しているのだと思うのです

■小坊主つばめさん
 仏さんには意思がある
 魂は生き続けているんです
 だから出会えた
 これは理屈ではなく実感でした

■zakさん
 こんな体験は半世紀を生きてきて初めてのことでした

■彩さん
 新しい命の始まり
 輪廻転生
 必ず素晴らしい人生を歩まれるでしょう

■yoko-minatoさん
 皆で、そう日本が、世界がひとつになって歩むことの
 大切さを残された人たちは学びましたね
 
■YOUR-MOMさん
 人間の世界と同居しているウミネコたちにとって
 人気のない岸壁は一見天国に見えるけれども
 空しい世界かもしれませんね

■ricoさん
 生きることのこだわり
 大切にしたいですね

■Dandelionさん
 心は生きている
 そうなんだと思います
 今回被災された方々の魂も
 必ず復興している姿を楽しみにされているはず
 頑張らねば

■雀翁さん
 時間の経過とともにそうなるんですね
 それでも心はつながる
 いいなって思います

■ライムグリーンさん
 ものごと縁あり
 いろいろなことがきっと見えてくることでしょう

by COLE (2011-05-04 18:15) 

drumusuko

本当にいい話ですね~!
感動しました!
by drumusuko (2011-05-05 15:59) 

COLE

■drumusukoさん
 ありがとうございます
 故人も喜んでいることでしょう
by COLE (2011-05-05 22:46) 

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